幾重にも打ち寄せる波が
足元を洗っていく
虹色の夕暮れが あたりを包む
君と見たかったなぁ
きっと気に入って
このあたりに家を買おうかなんて
言っただろうと思う
白いススキ野原が
金色にひかっている
風にゆれて
やわらかく波打っている
遠くへ行く列車に
白い服を着た人たちが 乗ったり降りたりして
ひらひらと ひらひらと
手をふっている
さようなら ありがとう またねと
優しく 手をふっている
車椅子を押しながら
階段を前に立ちすくむ
回り道をすればいいとか
他の道を通ればいいとか
いろいろ方法はあるのだろうけど
どこにも道が通じていなかったら
ずっとここにいるより他にない
助けを求めて
クッキーを買いに行こう
あの人にあげるための
素敵な形がいろいろ
笑ってくれたら いいなあ
自分の心が荒んでいることを
人のせいにはしない
悲しみを癒して
優しさを思い出して
そうしてただ ここに立っているだけでいい
寡黙で 優しかった君は
突然 逝ってしまった
わたしにできたことは
あったのかな
今さら なんの意味もなくても
涙
君が旅立った きれいな空
迷ったら
思いやりのあるほうを
選択するのがいい
損得じゃなくて
思いやりのあるほう
あなたが居なくなっても
世界はまわりつづけてる
鮮やかで 涼やかな 雨上がり
不思議と悲しくはないの
ただ なんであんなこと言っちゃったのかなとか
なんで もっと優しくしてあげられなかったんだろうって
愚かな自分が 情けないだけ
ありがとうね
いつもありがとうね
なにもお返しできてなくて
ごめんね
いつもありがとうね
お皿を洗って
掃除をしたら
きれいになって
気分がいい
幸せって こんな感じかな
ちょっと ほめてもらって
うれしかった
安心よね やっぱり
これでいいんだなって
思えるから
正直で
優しい人がいい
いっしょにいるのは
そういう人がいい
いちいち傷つける必要が
わからない
話も聞かないで
顔もよく見ないで
ごめんね
あなたがもうすぐ逝ってしまうと
思いたくなかった
白い雪を ざくさくと踏みながら
見つめてる
信じてくれる人と
いっしょに居たいなぁ
きずついた人を見て
きずつけたことを知る
そんなつもりじゃなかった?
ほんとうに?
問いかける
冷たい風に吹かれて
空を見ていた
話しかけても ひとり
あなたのためといいながら
自分のことばかり
交差点で 車が歌う
青空
あなたにしかできないことがあるよと
言ってくれたきみは
25才のまま
ゆっくりでいいよって
言ってあげられる世界
って いいなあ
はやく走れるのも かっこいいけど
いつか 帰ろう
葉っぱのきらきら
海のざわざわ
雲が草をわたり
きみが迎えにきてくれる
そんなところへ
どうして できないの?
どうして できないと いけないの?
つごうよく
みなに つごうよく生きるよう
求められ
冷や汗をかきながら 走っていく
美しい人たち
おーい
おーい
おーい
わたしのさびしさを
だれも知らない
ありがとね
と言って眠ったきみの
腕を撫でた
あの大きな空を
飛びまわっているの
桜島の空
お母さんの空
今日も 空を見なかった
心の中に 青空を広げて
目を閉じると
友だちが笑っているのが見える
小さな子が
お風呂で歌っている
かろやかに
歌っている
小さな子の声って
いいなあ
この人は
信用できるだろうかと
思いながら
生きていくのはイヤだなぁ
人を 信じていたい
笑いあっていたい
きみに会えなかったら
今の人生はなかった
きみに会えなかったら
ずっと寂しいままだった
きみに会えなかったら・・
きみに会えなかったら・・
大きな桜の木
草っ原の野球場
透き通る川
小さな田んぼ
古い木の家と
こたつで焦げたネコの話
考えてみれば
あなたは 好きなものを
次から次へと
わたしに見せてくれた
つばめの巣を見上げて
心配していた あなたが
とても 好きだったよ
心と 心が
ほんとうのことを
伝えあって
はじめて
ぬくもりが伝わる
あなたは冷たい人ではないと
知ることができる
生まれること
育つこと
年をとること
考えてみれば
みんな はじめてのこと
戸惑って
あたりまえ
精一杯 生きている
カタン コトン
トワイライトエキスプレスに乗って
旅したね
だまっていることも
話していることも
なんにも 気を使うことなかったな
君といるときは
いつも そんな感じだった
上賀茂神社にいって
おまいりをしたよ
あいかわらず 透きとおった水が
きらきら きらきら
神さまは
水の中にいるんじゃないかなって
ときどき思う
雪虫が
飛んでいたよ
白い ふわふわ
今日は
きみのことが
やけに 思い出された
もう冬なんやな
約束を信じて
待っているのも
優しさだし
もう 待たないのも
優しさなのかもしれないなって
ふと 思った
お見舞いの 帰り道
見上げた空から
雨がふってくる
雨にぬれて 帰りたい
たまには 雨にぬれて
雨に打たれて
キンモクセイの花が散っている
香る前に散ってしまったね
でも 花はそんなこと
気にしていないようだった
コンビニの人が
おつりをくれた手がふいに
あたたかくて
泣きたくなるほど
さびしかった時があったと
話してくれた キミの
なにを見ていたんだろう
わたしは
なにも わかっていなかった
優しく首を傾けて
顔を見る しぐさ
変わってないなぁ
はじめて会った頃と
なにも
雨あがり
キラキラした海を
思い出しながら
コーヒーを飲んでいると
カモメの声が
聞こえるようで
なつかしい気持ちになる
今
苦しんでいる人を
さらに苦しめない
それだけでも十分な
優しさ
満月と
あかるい街灯が
白く ひかっていた
こんなにあかるいとこには
トトロは来ないだろうな・・
って空を見ていた
悲しくて
涙が出てきたら
ちゃんと
泣いたほうがいい
泣けなくなると 人間て
笑えなくなるん
雲の影が
草原を渡るのを
見ていた
おーいと呼ばれて
振り返ったら
あなたが手をふっていた
ひかりのなかで
笑っていた 友よ
静かな夜
雨の音がしている
鳥たちは
どうしてるんやろう
いつもの街路樹に
いるのかな
灰色の雲に
三つの 青い目があった
灰色の雲の
青い穴
向こう側は 晴れ